労務担当がいない会社を退職|手続き一覧とスケジュールを全公開【退職実録①】

退職手続き 仕事効率化・IT

📌 この記事でわかること

  • 退職にともなう手続きの全体像(期限別・提出先別の一覧表つき)
  • 健康保険・厚生年金・雇用保険・住民税の手続期限
  • 2026年から変わった「健康保険証の返却」の扱い
  • 失業給付と扶養が同時に成立しないことがある、という落とし穴
  • 退職を打診してから退職日までの、実際のスケジュールと引き継ぎの失敗談
この記事の概要

社員数名の小さな会社を、5年ほど勤めて退職しました。総務や労務をひとりで担っていた方が長期休業に入り、退職手続きに詳しい人が社内に誰もいない状態での退職です。結果として、必要な手続きを自分で調べ、期限別の一覧表を作り、進捗を管理しながら進めることになりました。この記事では、そのとき実際に作った手続き一覧表と、退職を打診してから退職日までのスケジュールを公開します。「小さい会社を辞めるけれど、手続きがちゃんと進むか不安」という方の、地図がわりになればうれしいです。

夫婦共働きで25年、ゆるわ~くを目指すとみぃずつま、なくわです。
昨年度末に、5年ほど勤めたスタートアップの会社を退職しました。その際、必要な手続きをほぼ一人で行うことになりました。その時手続をした内容をまとめておきたいと思います。

にゃくわ
にゃくわ

退職の手続きって、会社が全部やってくれるものだと思ってたにゃ…

おっと
おっと

やってくれるのが本来の姿。でも「やれる人がいない会社」の時は困るよね…

【重要】この記事の前提と注意事項

読む前に知っておいてほしいこと
  • 手続きの義務は事業主にあります。資格喪失手続きや離職票の交付は会社が行うもので、退職する本人が代わりに提出できるものではありません。この記事は、会社が動けるように本人が段取りを整えた記録です。
  • 手続きの代行は社会保険労務士の業務です。他人の依頼を受け、報酬を得てこれらの書類を作成することはできません。ご自身以外の手続きは必ず専門家へ。
  • 期限・様式は必ず最新の一次情報を確認してください。健康保険証から資格確認書への移行のように、制度は動いています。日本年金機構・ハローワーク・お住まいの市区町村・加入されている健康保険組合の公式情報をご確認ください。

プロローグ|数名の会社で5年、区切りのいいところで辞めることにした

前の会社を辞めたあと、私が再就職したのは、数名で設立したばかりの会社でした。いわゆるスタートアップです。

当初は製品管理を主な役割として、1〜2年ほどお手伝いする予定でした。ところが社員数が少ないぶん、社内インフラの整備も、品質管理も、気がつけば私の担当に。結局、5年強お世話になることになりました。

待遇は年俸制で、ボーナスも昇給も退職金もなし。緊急案件が発生したら、社員全員強制参加で倉庫作業。でも、勤務時間や休みの融通だけは恐ろしいほど通る会社でした。

自分はこの先どう成長していきたいのか。家族と自分の体調をどう守っていくのか。そのあたりを考えた結果、区切りのいいタイミングで退職しようと決めました。

労務担当が不在のまま、退職手続きに向き合うことになった

労務を一手に担っていた人が、長期休業中だった

5年のあいだ、人の入れ替わりがなかったわけではありません。少ない社員のなかでも、2〜3名が入社したり退職したりしていました。

そのときは、幸いなことに総務と経理を担当している方がいて、書籍やWebで調べながら、さまざまな手続きをしてくださっていました。

ところがその方も、諸事情で長期休業に入ることに。総務担当は不在、経理は別の方が無理やり兼務するという状態になりました。私が退職を決めたのは、ちょうどそんなときです。

最初に考えたのは、書類ではなく「退職後にどうするか」だった

一番気になったのは、退職後の健康保険と年金、そして失業給付でした。

調べてすぐに分かったのは、これらは「退職後にどの道を選ぶか」で、必要な書類も期限もまるごと変わるということです。

  • 失業給付を受けて当面の生活の足しにしたい → 会社から離職票を早く受け取る必要がある
  • 配偶者や親の扶養に入りたい → 社会保険の切れ目をつくらないよう、資格喪失証明書を早く受け取って切り替える必要がある
  • 国民健康保険か任意継続を選ぶ → それぞれ14日以内・20日以内という別々の期限がある

どの道を選ぶにしても、起点になるのは会社から発行してもらう書類です。つまり、退職後の身の振り方をある程度決めてから退職日を迎えるほうが、圧倒的にトラブルが少ないということ。

ここを曖昧にしたまま辞めると、「必要な書類を会社に頼み忘れる」「期限を過ぎてから気づく」ということが起きます。私が真っ先に考えたのは、書類の書き方ではなく、この進路のほうでした。

にゃくわ
にゃくわ

辞めてからゆっくり考えよう、じゃ遅いんだにゃ…

おっと
おっと

気付いたら書類の期限が来てしまった!

なんてことがないように事前にチェックが必要だね。

自分で調べて動くと決めた理由

本来、従業員の入退社にともなう手続きは会社(事業主)の義務であり、代行を業として行えるのは社会保険労務士です。これは労務の大前提。

ただ、人手も費用も足りていない当時の会社に、期限までに必要な書類をきちんと出してもらうのは現実的に難しい、と私は判断しました。そして、もし遅れたり間違ったりしたときに困るのは自分自身だということも…

だから、会社にお任せせず、自分で全体像を把握して、わかる範囲で書類を準備し、必要なタイミングで必要なことをお願いするという進め方を選びました。会社の代わりに手続きをするのではなく、会社が動けるように段取りを整えるイメージです。

全体像を把握するために、一覧表を作った

私は退職後、夫の扶養に入ることにしました。そこでその前提で必要になる書類をAIも使いながら洗い出し、一覧表を作るところから始めました。

もうひとつ役に立ったのが、社内資料です。社内のインフラをクラウド化してファイルを一元管理していたため、前の労務担当者がPDFで残してくれていた過去の退職者の書類を参照できました。記載すべき項目や会社の事業所番号といった、調べても出てこない情報はここから確認できました。

この2つに、日本年金機構ハローワークの公式ページを突き合わせて、必要な書類と記載項目を確定させていきました。

退職手続きの全体像|期限別・提出先別の一覧表

実際に作った一覧表を、整理したものがこちらです。期限は「退職日から数えて何日」という相対表記にしてあります。

手続きの内容必要な書類・もの提出先・受取先期限の目安メモ
健康保険・厚生年金の資格喪失健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届日本年金機構(事務センター)または健康保険組合退職日の翌日から5日以内提出するのは会社。返納が必要なのは資格確認書
資格喪失証明書を受け取る健康保険 資格喪失証明書会社から受け取る
(日本年金機構に発行を依頼する)
退職後できるだけ早く扶養・国保・任意継続すべての入口になる書類
雇用保険の資格喪失雇用保険被保険者資格喪失届(+離職証明書)ハローワーク離職日の翌々日から10日以内離職票が必要な場合は離職証明書を添付してもらう
離職票を受け取る離職票-1、離職票-2会社から受け取る
(上記ハローワークの手続後に発行される)
退職後10日〜2週間程度失業給付を申請しない場合でも受け取って保管を
住民税の切り替え給与所得者異動届出書(会社が提出)市区町村退職した月の翌月10日まで退職月によって一括徴収か普通徴収かが変わる
源泉徴収票を受け取る源泉徴収票会社から受け取る
(顧問税理士より発行される場合も)
退職後1か月以内扶養の審査や確定申告で必要になる
会社への返却物資格確認書、社員証、名刺、貸与品(印鑑)など会社退職日まで従来の健康保険証は返納不要(後述)
【選択A】配偶者の扶養に入る被扶養者(異動)届、資格喪失証明書、収入確認書類配偶者の勤務先退職後できるだけ早くパート収入がある場合は認定要件の確認を
【選択A】国民年金 第3号への種別変更国民年金第3号被保険者関係届配偶者の勤務先経由扶養認定とあわせて基礎年金番号が必要
【選択B】国民健康保険に加入資格喪失証明書、本人確認書類、マイナンバー市区町村退職日の翌日から14日以内任意継続と保険料を比較してから決める
【選択B】健康保険の任意継続任意継続被保険者 資格取得申出書協会けんぽ支部/健康保険組合退職日の翌日から20日以内期限が短い。迷うなら先に試算を
【選択B】国民年金 第1号への種別変更国民年金被保険者関係届書市区町村退職日の翌日から14日以内国保の手続きと同時にできます
失業給付の受給手続き離職票-1・-2、マイナンバー、本人確認書類、写真、通帳ハローワーク離職票が届いたら早めに受給額によっては扶養に入れません(後述)
iDeCoの変更手続き加入者被保険者種別変更届など加入しているiDeCo運営管理機関退職後できるだけ早く被保険者の種別が変わるので届出が必要
※期限や様式は変更されることがあります。実際に手続きされる際は、必ず提出先の公式情報でご確認ください。

退職日「まで」にやること

やることは大きく2つ。会社への返却物をそろえることと、退職後に必要な書類をお願いしておくことです。

返却物でひとつ注意点があります。以前は「健康保険証を退職日に返却」が定番でしたが、2025年12月2日以降、従来の健康保険証は使えなくなりました。現在、退職時に回収・返納するのは資格確認書(マイナ保険証を登録していない人に発行されているカード)だけです。

ここは会社側も把握しづらいところなので、自分が資格確認書を持っているかどうかを先に確認しておくとスムーズです。

おっと
おっと

保険証、返さなくていいの!?

にゃくわ
にゃくわ

今は紙の保険証からマイナ保険証に変わってるにゃ。
ネットの記事はまだ古い情報のままのものも多いから要注意!!
ハローワークで資格確認書ありますかって言われて、何のこと??ってびっくりしたにゃ。

そしてもうひとつ、「離職票が必要です」と会社にはっきり伝えておくこと。離職票は本人が希望しないと作成されないことがあるためです。
実は以前に会社を退職した方々は、離職票の作成を希望されていなかったため、今回私が初めて離職証明書を作成、離職票を発行する社員となりました。

退職日の翌日から5日以内|健康保険・厚生年金

健康保険、厚生年金の資格喪失届の提出期限です。かなり短いので、退職日が近づいたら会社に一声かけておくと安心です。

この手続きが終わらないと、扶養に入るにも国保に入るにも必要な資格喪失証明書が手元に来ません。
※資格喪失証明書を入手するには、資格取得・資格喪失等確認請求書の提出が必要となります。
退職後の空白期間をつくらないためにも、ここが最初の関門になります。
私は「資格喪失届」「資格取得・資格喪失等確認請求書」この2つの書類を1か月前には作成し、会社に提出して顧問社労士さんに確認してもらっていました。

おっと
おっと

資格喪失確認請求書の本人確認をマイナンバーにした場合、マイナンバーのコピーが必要になるので、担当者は要注意だよ!

離職日の翌々日から10日以内|雇用保険

健康保険とは起算日も日数も違うので、混同しないよう注意してください。私も一覧表に並べて初めて、期限が3種類あることに気づきました。

離職票がほしい場合、会社は資格喪失届に「離職証明書」を添えて提出します。この離職証明書には退職前の賃金や離職理由が記載され、内容を確認したうえで本人が署名する欄があります。届いたら中身をよく確認しましょう。
もちろん、この離職票も、私は自分で作成し、会社に提出して顧問社労士に確認して完成版を作っていました。年俸制・固定給だったのが幸いして、あまり混乱なく記入することができました。

離職証明書は、ハローワークにおいてある3枚複写の書類

退職した月の翌月10日まで|住民税

忘れられがちなのがここです。会社が市区町村へ「給与所得者異動届出書」を提出します。
※住民税が会社の給与から引き落としされている「特別徴収」の場合に必要となります。

ややこしいのは、退職した月によって扱いが変わることです。

  • 1月〜5月に退職…その年度の残額が、原則として最後の給与や退職金からまとめて差し引かれます
  • 6月〜12月に退職…一括で払うか、自分で納付書で払う(普通徴収)かを選べます

最後の給与の手取りが想定より大きく減ることがあるので、退職前に一度確認しておくと心の準備ができます。

にゃくわ
にゃくわ

住民税は市町村から振込書が届いて自分で支払う「普通徴収」だったので、今回はこの手続きは不要だったにゃ!

退職後1か月以内|源泉徴収票

年の途中で退職すると年末調整が行われないため、源泉徴収票は確定申告や扶養の審査で必要になります。1か月を過ぎても届かないときは、遠慮せず会社に催促してください。

にゃくわ
にゃくわ

年俸制で固定給だったから、源泉徴収票は退職日にもらえたにゃ!

【要注意】失業給付と扶養は、同時に成立しないことがある

調べていて一番ヒヤッとしたのが、これです。

失業給付の基本手当を受け取っている間、日額が一定の金額を超えると、健康保険の扶養に入ることができません。「扶養に入りつつ失業給付ももらう」という前提で計画を立てていると、途中で崩れます。

金額の基準や運用は加入している健康保険によって異なるので、扶養に入る予定の方は配偶者の勤務先の健康保険に事前に確認しておいてください。ここは一覧表を作るだけでは見えてこない落とし穴でした。

にゃくわ
にゃくわ

失業給付をもらっている間は、配偶者の健康保険に入れないことが多いにゃ!
その場合は自分で国民保険に入る必要があるにゃ~

おっと
おっと

失業保険をもらい終わった後に、配偶者の健康保険に入るかたちになるね~

実際に動いたスケジュール|打診から退職日まで

12月に社長へ打診した

退職を決断したのは、前の年の年末でした。その場で社長に話をして、年度末での退職を打診しました。

ありがたいことに、何度か引き留めの相談をいただきました。それでも、いまの待遇と会社の状況では続けるのが難しいこと、健康面での不安があることをお伝えし、最終的に年度末での退職を受諾していただきました。

この「早めに伝える」判断が、あとから効いてきます。労務担当がいない会社では、会社側にも準備の時間が必要だからです。

2か月で引き継ぎを終える計画にした

打診のあと、すぐに自分の仕事の棚卸表引継ぎ者一覧表を作りました。誰に何を渡すのかを先に決めてしまう、というやり方です。

そして2月末までに新担当者と日程を合わせ、ひとつずつ業務を引き継ぎ、引継ぎ書を作成しました。

最終月は有給休暇の消化にあてるつもりだったので、有休とテレワークを組み合わせ、新担当者が実際にやってみて困ったときだけ連絡をもらうという期間にしました。教えるフェーズではなく、伴走するフェーズです。

早く着手して正解だったこと/やりすぎて失敗したこと

正解だったのは、業務一覧表をもともと作ってあったことです。数年で辞めるつもりで入社したので、日ごろから仕事の棚卸しをしていました。おかげで引継ぎ書も作り込むことができ、退職後に問い合わせの連絡が来ることは一度もありませんでした

逆に、失敗だったと思うのは引き継ぎが早すぎたことです。

退職まで時間があるうちに引き継ぐと、新担当者にとっては「まだ先の話」でしかなく、現実感がわきません。こちらが一生懸命説明しても、あまり真剣に聞いてもらえないのです。これは完全に想定外でした。

おっと
おっと

準備が良すぎて空振りするって、ちょっと切ないね。

にゃくわ
にゃくわ

自分が困る直前じゃないと、実感沸かないのかもにゃ~

いま振り返ると、早めに始めて、退職直前にもう一度おさらいするという二段構えにすればよかったと思います。

準備しておくと迷わない書類・データ

今回つくづく感じたのは、業務一覧表があるかないかで、その後の作業量がまるで変わるということでした。あらかじめ手元に用意しておくとよかったものを挙げておきます。

  • 業務一覧表…頻度(毎日・毎月・毎年)で分類しておく。年1回の業務が一番抜けます
  • 引継ぎ者一覧表…誰に何を渡すかを先に決めてしまう
  • 過去の退職者の書類…社内に残っていれば最強の手本になります
  • 直近の給与明細…扶養の審査で収入確認書類として使います
  • 基礎年金番号がわかるもの…年金の種別変更で必要になります
  • 雇用保険被保険者番号…過去の資格取得等確認通知書などで確認できます

まとめ|地図さえあれば、そんなに怖くない

労務担当がいない会社を辞めると聞くと大変そうですが、やってみて分かったのは、怖いのは手続きそのものではなく、全体像が見えないことでした。

期限別に並べた一覧表を1枚つくった瞬間に、やるべきことは有限だと分かって、ずいぶん気が楽になりました。

今回のポイント
  • 退職後の進路を先に決める——必要な書類も期限も、そこから逆算して決まる
  • 期限は3種類ある——健保・厚年は5日、雇用保険は10日、住民税は翌月10日
  • 返納するのは資格確認書だけ——従来の健康保険証はもう返さなくてよい
  • 失業給付と扶養は両立しないことがある——事前に配偶者の健康保険へ確認を
  • 引き継ぎは二段構えで——早く始めて、直前にもう一度おさらいする

次回は、この退職を支えてくれた引き継ぎと業務の手順書化について書きます。「聞けば分かる」が消えるのが退職です。何をどこまで文書に残せばいいのか、実際に作ったものを見ながらまとめる予定です。

シェアする
nakuwaをフォローする
とみぃずのゆる生活考
タイトルとURLをコピーしました